これまでの連載を通じてビジネスにおけるデスクリサーチの重要性についてお伝えしてまいりました。
「第一回:リサーチ(調査)とは?-現代のビジネスパーソンに必須のスキル-」ではリサーチ(調査)の手法やデスクリサーチの長所・短所について、「第二回:デスクリサーチの正しい進め方とは?-事前準備がポイント!-」では具体的なデスクリサーチの進め方を解説いたしました。
まだ読んでいない方は是非そちらも参考にしてください。
さて、連載第三回目となる今回は、質の高い情報を収集するためのソース(情報源)に焦点を当てて行きます。
目次
リサーチの成功の鍵を握るソース(情報源)
デスクリサーチを行う上でいかに質の良いソース(情報源)に出会えるかがリサーチの成功の鍵を握ります。
「たくさんありすぎてどの情報を参考にしたら良いのかわからない!」とお悩みの方も多いと思います。
そこで本コラムではリサーチを行う上で有益なソース(情報源)をカテゴリーごとにご紹介します。
効率的に情報収集ができるだけでなく信頼できるソース(情報源)を理解することで間違った情報をインプットすることを防ぐことができますので是非、参考にしてください。
主なソース(情報源)紹介 -無料のソース-
官公庁
政府・各省庁およびコンサルティングファームなど民間企業への委託によって作成された資料です。
信頼性・客観性が高く、国勢調査などをはじめ大規模な調査をもとに得られたデータなども特徴です。
多くの調査報告資料やデータなどはWeb上で閲覧することができます。
ただし、一部資料では情報量が多い、資料のデザインが見にくいなどの理由で必要な情報が見つけづらいなどの欠点もあります。
各省庁・行政機関が発表している統計はe-STATより検索することができます。
産業・業界団体
団体に属する企業や個人などの会員より収集した情報などから統計を作成しています。
Web上で一般公開されている場合も多く、会員でなくても情報にアクセスすることができます。
また、会員に向けて業界紙などの発行も行なっている団体も多いです。
一部業界紙は図書館などで閲覧可能です。
企業IR(Investor Relation)レポート
各企業が投資家に向けて発行する資料です。
企業の財務状況に加え、業界や市場の動向などの情報を記載している企業もあります。
また、企業の売り上げや成長率など定量的な情報だけでなく、ビジネスのトレンドや今後企業がとる戦略など定性的な情報も含まれています。
民間シンクタンク・金融機関
民間シンクタンク(経済研究所)や銀行などの金融機関が調査し公開している経済・産業レポートでは、業界分析や市場・経済予測などを確認することができます。
今後、成長が期待されている産業や市場が取り上げられることが多いです。
日本だけでなく海外の市場や経済の状況を確認することもできます。
例として、シンクタンクは大和総研やNTTデータ経営研究所など、金融機関では三井住友銀行企業調査部や三菱UFJ銀行(行内専門チーム)などが挙げられます。
無料ソース(情報源)一覧
情報源 | 特徴 | リンク |
官公庁 | 情報の信頼性・客観性が高いが情報量が多く見つけづらいなど欠点もある。 | e-STAT |
産業・業界団体 | 会員へのヒアリングなどを通して専門性の高い情報を公開している。 | 一部業界紙は図書館などで貯蔵されている場合あり |
企業IRレポート | 売り上げ・成長率など定量的な情報だけでなく、ビジネスのトレンドや企業戦略など定性的な情報も含まれている。 | 各社の株主や投資家向け情報からアクセス可能 |
シンクタンク・金融機関 | 業界分析や市場・経済予測などが確認できる。特にトレンドのテーマや業界を取り上げる傾向にある。 | 各シンクタンク・銀行のウェブサイトから閲覧できる |
主なソース(情報源)紹介 -有料のソース-
民間調査会社
民間調査会社では特定の業界や市場をテーマに、各メーカーや専門家へのヒアリングをもとに作成された市場レポートの販売を行なっています。
市場規模、各メーカーの市場シェアや市場成長率などの定量的な情報から、市場のトレンドや各メーカーの課題など定量的な情報まで幅広くカバーされています。
対象とされている市場について深く知ることができます。
しかしながら、高額で販売されている場合が多く、手が出しにくい現状もあります。
主な民間調査会社には矢野経済研究所や富士経済研究所などがあります。
データベース
各社が独自で収集した統計や企業情報から過去の新聞記事や雑誌のアーカイブまで一括検索できるデータベースです。
上場・非上場を合わせて国内外1000万社以上の企業情報にアクセスできるSPEEDAや1億を超える記事やデータにアクセスできる日経テレコンなどが例として挙げられます。
有料ソース(情報源)一覧
情報源 | 特徴 | 例 |
民間調査会社 | 高額だがメーカーなどへのヒアリングを用いてより踏み込んだ情報を提供。 | 矢野経済研究所 |
データベース | 各社が独自で収集した統計や企業情報から過去の新聞記事や雑誌のアーカイブまで一括検索できるデータベース。 | SPEEDA |
業界や市場によっては上記の他にもさまざまなソース(情報源)があると思います。
上記以外のソース(情報源)からリサーチを進める場合の注意点をご紹介します。
-
- 情報の信頼性を確認:
Wikipediaやnoteなど個人の裁量で編集・加工が可能なソース(情報源)はその信頼性を確認する必要があります。
必ず、情報の根拠となる出典元を確認してください。
- 情報の信頼性を確認:
- バイアス(偏り)に注意:
企業や団体が発表するデータや統計などの中にはマーケティングや宣伝・プロモーションを目的としたものもあり、発信者(個人や企業)に有益な解釈をした情報を発信している場合があります。
発信者の意図を読み取り、できるだけ客観性の高い情報ソースを選択しましょう。
これまでコラム連載三回にわたってデスクリサーチについて解説を行ってきました。
デスクリサーチはやみくもにGoogle検索をせずまずはリサーチのゴールを決めることで効率的にリサーチを行うことができるといったことや、信頼のできるソース(情報源)を知っておくことで、アウトプットの質の向上が見込めるなどリサーチを行う上でのコツをご紹介しております。
「デスクリサーチの方法が分からず必要な情報が得られない」や「時間がかかる上にどの情報を信用して良いのか分からない」などデスクリサーチのお悩みを抱えている皆さんにぜひご参考にしていただきたい内容となっております。
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これまで本コラムではデスクリサーチに関する基礎編をお伝えしました。
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▼連載
第一回:リサーチ(調査)とは?-現代のビジネスパーソンに必須のスキル-
第二回:デスクリサーチの正しい進め方とは?-事前準備がポイント!-
第四回:実践編!デスクリサーチにおける現役コンサルタントの思考プロセスを大公開