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第一回:リサーチ(調査)とは?-現代のビジネスパーソンに必須のスキル-

更新日: 2023.02.05

第一回:リサーチ(調査)とは?-現代のビジネスパーソンに必須のスキル-

みなさん、はじめまして。リサーチコンサルタントの松田有美です。

私はさまざまな業種の企業からご依頼をいただき市場調査などの委託を受けています。
また、前職では海外のシンクタンク(経済研究所)に所属し経済白書の作成に携わるなど、前職・現職と一貫して「リサーチ(調査)業務」を生業としてきました。

 皆さんの中にはリサーチ(調査)と聞くと、我々コンサルタント、マーケティングや経営企画など一部の方の業務だと思っていませんか?

「新規事業部署に配属されたけど、どのようにアイデアを出せば良い?」
「顧客への提案書作成を任されたけど何から手をつけていいのかわからない!」

コンサルタントとしてこんなご相談をいただくことがあります。
実はこういった業務でもまず基礎となるのはリサーチ(調査)です。

インターネットの普及により誰でも手軽に情報を手に入れられる時代になりました。
一方で、大量の情報から必要なものを取り出し活用するというスキルが多くのビジネスシーンで求められています。
そんなリサーチ(調査)について詳しく解説したいと思います。


ビジネスにおける「リサーチ(調査)」とは

まず、ビジネス環境において一般的に利用されているリサーチ(調査)手法として下記の2つが挙げられます。
それぞれの定義と合わせてご確認ください。

一次調査(プライマリーリサーチ)

対象となる回答者から直接、データ収集や調査を行う手法。
一次調査には専門家の見識などを収集・分析する定性調査とデータや数値を収集・分析する定量調査がありアンケート(サーベイ)、インタビュー、フォーカスグループなどが含まれる。
一次調査では情報収集に数週間から数ヶ月を要することや専門業社への委託料など非常に高価である点を考慮しなければならない。

二次調査(セカンダリーリサーチ)

デスクリサーチ・デスクトップリサーチとも呼ばれ、官公庁・業界団体の統計・新聞、雑誌、調査会社などすでに第三者によって形式化(収集・分析)された情報をリサーチすること。
情報収集方法は多岐に渡り、オンラインであればGoogleなどの検索エンジンから、オフラインでは書籍や刊行物、新聞などが挙げられる。
一部有料の情報ソースもあるが比較的、安価で手軽に情報にアクセスできるのが特徴である。
 

日々の業務では特に二次調査(セカンダリーリサーチ)に該当するデスクリサーチ・デスクトップリサーチを積極的に活用することで、予算や時間をかけずに社内で効率的に情報収集が可能になります。

 そんなデスクリサーチ・デスクトップリサーチについて、本連載を通して基本から丁寧に解説したいと思います。
我々コンサルタントが実践する成果を最大化する方法やリサーチ(調査)のテクニックなどもご紹介する予定です。

 

デスクリサーチ・デスクトップリサーチをどのように活用するの?

デスクリサーチ・デスクトップリサーチはパソコンひとつで様々な情報にアクセスすることができ、一部の有料ソースを除いて無料で情報収集ができます。
また、既に分析された情報から新たな知見を得ることもでき、アウトプットの質を向上させることができます。

各リサーチ方法の定義でも触れましたが、デスクリサーチ・デスクトップリサーチはインタビューやアンケート調査と比較して安価で短期間での情報収集が可能なため、まずはデスクリサーチ・デスクトップリサーチを行いその上で一次調査の実施を検討することが一般的とされています。

 一方で、デスクリサーチ・デスクトップリサーチを行う上での留意点もいくつかあります。
例えば、必ずしも探している情報と合致するデータがない場合や最新のデータや情報がないといったことです。

この場合は類似市場からの推測や情報を組み合わせて分析を行うという方法がありますが、複雑な作業が必要ですのでここは我々コンサルタントの腕の見せ所です。

一方、社内でも挑戦してみたいとお考えの方々もいらっしゃるかと思います。
本連載ではデスクリサーチ・デスクトップリサーチ応用についてもカバーする予定ですのでぜひ、ご期待ください。

また、情報発信者のバイアス(偏り)にも注意が必要です。
発信者にとって「都合の良い」解釈の入ったデータである場合があります。
こうした情報の精査に関しては次回以降の連載でも詳しく解説する予定です。

 

デスクリサーチの長所と短所

長所 短所
  • 情報へのアクセスが容易
  • 無料もしくは低価格
  • 短時間で情報収集ができる
  • 「既存の調査・分析」から新しい知見を得ることができる
  • 誰でも情報にアクセスできる
  • バラエティーに富んだ情報源から多岐にわたる情報・データを収集できる
  • 探している情報と合致しない場合がある
  • 情報の質をコントロールできない
  • 情報発信者のバイアス(偏り)がかかっている 場合がある
  • データや情報が古い場合がある

デスクリサーチ・デスクトップリサーチは時間効率、コスト性に優れた情報収集の手法です。

これまで、分からないことがあればすぐにアンケート調査や専門家へのインタビューと考えていた方もこれを機会にデスクリサーチ・デスクトップリサーチの重要性を認識していただけたのではないでしょうか?

デスクリサーチ・デスクトップリサーチの進め方って?

今回はデスクリサーチ・デスクトップリサーチの定義や用途そして長所や短所などを解説してきました。

ここまでお読みいただいた皆さんの中に、早速Googleの検索窓を開いてなんとなくキーワード検索を始めようとした方はいませんか?ちょっと待ってください!

デスクリサーチ・デスクトップリサーチを行うにはある順番を守る必要があります。
そうすることで効率的に比較的短時間で情報収集を行うことができ、同時に情報の取りこぼしを防ぐこともできます。

次回からはこのデスクリサーチ・デスクトップリサーチの手順(デスクリサーチジャーニー)について詳しく解説をしていきたいと思います。 

▼連載
第二回:デスクリサーチの正しい進め方とは?-事前準備がポイント!-
第三回:保存版!デスクリサーチの質を左右するソース(情報源)集
第四回:実践編!デスクリサーチにおける現役コンサルタントの思考プロセスを大公開