マーケティングの悩みに1週間プロが伴走するプラットフォームサービス「ProSession(プロセッション)」では多くの専門家が活躍しています。この記事では、ProSessionに投稿されるマーケティングに関する質問のうち、マーケティングリサーチに関する質問に多数回答しているリサーチコンサルタントの山本寛さんを紹介します。
目次
プロフィール
慶應義塾法学部政治学科卒業後、株式会社オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)に就職し、マーケティング部門でリサーチを担当。以降、大手人材サービス会社に転職し、中途採用領域をメインにサービスブランディングやキャリアに関するリサーチ部門のリーダーを務める。現在は副業として個人でもリサーチ業務を請け負う。2021年12月よりProSessionのコンサルタントとして参画。
リサーチャーの腕が試される初期フェーズをサポート。その面白さが魅力
−まずProSessionでコンサルタントとして活躍することになった経緯を教えてください。
ProSessionを提供するグローバル・カルテット代表の城さんとは以前よりSNSで繋がっている関係だったのですが、私が講師を務めた講義に城さんが参加してくださった際にご挨拶をしていろいろお話させていただくようになりました。
ちょうどその頃、ProSessionのβ版がリリースしたタイミングだったということもあり、城さんからコンサルタントとして登録することを勧めていただきました。
私自身も会社員の側、副業でリサーチ業務を個人として受けているのですが、個人で活躍できる機会をより増やしていきたいといった意向が増していた時期でしたし、何より「面白そうだな」と思ったので、ProSessionに登録することを決めました。
−ProSessionが面白そうというのは具体的にどのような点で感じたのでしょうか。
リサーチというと、どんな設問にするか、どうやって分析するかということをメインに考えてしまいがちですが、それより前の最初のステップ、具体的には課題や仮説の定義なのですが、これが何より大切です。
この最初のステップをどう定義するかで設問や分析などそれ以降の工程の9割が決まってしまうといっても過言ではありません。この“最初のボタン”をかけ違うと、その後の工程、設問から分析結果までがすべて狂ってしまうんです。
最初のボタンは極めて抽象度の高いフェーズではあるんですが、だからこそリサーチャーの腕が試されるところ。もっともリサーチャーが価値発揮できる領域になりますので、当然、プロのリサーチャーにとっては面白いんです。
そして、そういったリサーチにとってとても大切な最初のステップに関する悩みがProSessionには多く集まっています。調査をしたいと思っているものの、何から手をつければいいか分からない、どう進めるべきか分からないと思っている方に寄り添い、その調査で何をなすべきかという課題を整理していくやりがいのあるフェーズに関われるのはマーケティングリサーチャーにとってとても魅力で、難しいがゆえに自分のスキルに磨きをかける貴重な機会でもあります。
リサーチの役割は次の一手を決めること
−最初のボタン、つまり課題の設定が正しくできないということがマーケティングリサーチではよくあることなのでしょうか。
はい、課題が整理されず、ブレブレのまま進めてしまって、リサーチ結果がどうにも活用できないデータになってしまうということは実は大変よくあることなんです。リサーチで多くの手間やコストをかけても結果的にそのデータがきちんと役立てられないとなるのは実に残念です。
リサーチ会社にしてみれば収入になれば結果がどうであれ問題ないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。自分のしたことがあまり役立たないというのはいくらお金がもらえても辛いこと。だから誰にとってもメリットがないんですね。
こういったリサーチ業界全体にありがちな課題をなんとかしたいという思いもあり、ProSessionではリサーチの初期段階を中心にコンサルさせていただいています。
−最初の課題整理から伴走するというのはまさにビジネスコンサル。リサーチでありながら、それ以上の役割を担っているように思います。
いわゆるコンサルタントのようにリサーチ結果を元に次のアクションまたその先までコミットすることももちろんあります。
ただ、リサーチ単体であえてその役割を考えると、意思決定の支援といったところでしょうか。つまり「よし、こうしよう」と次の一手を決めるために行うのがリサーチだと考えています。
少しリサーチの専門的な話になりますが、リサーチのプロセスは課題や仮説さえ明確になればそこから先のプロセスは仮説の答え合わせなんです。
この答え合わせがうまくいけば決断できる。つまりネクストアクションが決まります。
−もしリサーチ結果が仮説通りにならなかった場合はどうするのでしょうか?
もちろん、設問によっては矛盾した回答になることもあります。
ただ一見矛盾したかのように見えても、その矛盾の奥にある大事な価値観を探ることもできます。
矛盾の中から仮説では見出せていなかった顧客の価値観を見つけることができるかもしれない。
そうすることで仮説に深みが出るといいますか、同じ事象を違う角度から見ることができ、腹落ち感がより増すこともあります。
これらは分析工程の楽しみで、ここもリサーチャーにとってはやりがいのあるポイントですね。
仮説が完全に棄却されるようなリサーチ結果はさすがに滅多にないと言っていいと思います。
「何が分からないか分からない」抽象度高い悩みにこそ寄り添う。いざという時に頼られる存在に
−マーケティングリサーチにとって課題や仮説の定義など最初のステップが重要なことが分かりました。この最初のフェーズで悩まれる方は本当に多いですよね。
私は個人でリサーチを受けることも多いですが、ProSessionではないプロジェクトでも悩まれている点は皆さん同じ。最初のステップで「どうしていいか分からない」と悩まれている方がほとんどなんですね。「何が分からないかもよく分からない」そんな悲痛な叫びといいますか、藁をも掴む思いで相談いただくことばかりです。
ProSessionもまさにそうですが、そのように悩む方たちに話を聞きながら、状況を整理するお手伝いをさせていただいています。迷ってしまった人を交番にご案内するような感覚に近いです。
そのように伴走することで、「リサーチのプロジェクト全体をお願いしたい」と、最終的に案件化することも珍しくありません。
最初のステップから課題整理をお手伝いすると、信頼関係が築けるんだと思います。
−案件獲得にもつながる可能性があるということですね。
まさに。ProSessionでは、マーケティングリサーチの最初のステップという重要かつ一番面白いところをやらせていただきながら、リサーチャーとして自分をブラッシュアップする機会にもなり、かつ案件につながる可能性もあるという良いこと尽し。
ProSessionから直接の案件にならなくても、SNSなどがこれだけ普及している時代ですから、それ以外のチャネルから「そういえば以前、相談したことがある」ということでふとご相談いただくこともあります。
あらゆるつながりを最大限生かすという意味でもProSessionは私にとって機会創出の有効な活動のひとつとなっています。
気軽に相談できるなど機能拡充でより便利なサービスに
−最後にProSessionへの期待などあれば教えてください。
ProSessionはテキストでの相談・回答がメインのやりとりとなっていますが、悩みを抱く方の中には「何を書いていいか分からない」「文章にまとめられない」という方もいらっしゃるのかなと想像しています。文章というのは、書くことそのものにハードルの高さを感じる方も多いです。
逆にいうと、悩みやその悩みの背景などが明確に文章化できる人は自分で解決できてしまう人ともいえます。
自身の悩みが文章化できない、まとめられないという方のために、5分でも10分でも気軽に直接お話を聞けるような仕組みができると、相談される方のハードルも低くなり、コンサルタントとしても話して聞いたほうが背景や目的などが明確になりやすいというのがあります。
現状のProSessionでも直接コンサルタントにDMをした上でお互い同意があれば、直接お話を聞く時間を設定することもできるかと思いますが、より気軽にお話ができるような仕組み・機能などが拡充されるとより使いやすくなるのかなと期待しています。これからもよろしくお願いします。
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